2018-06-22から1日間の記事一覧

大風御書

〔C1・弘安四年五月頃・池上宗仲・宗長兄弟〕/御そらう(所労)いかん。又去ぬる文永十一年四月十二日の大風と、此の四月二十八日のよの大風と勝劣いかん。いかんが聞き候といそぎ申させ給ひ候へ。

三大秘法稟承事

〔C6・弘安四年四月八日・大田乗明〕/夫れ法華経の第七神力品に云く「要を以て之れを言はば、如来の一切の所有の法、如来の一切の自在の神力、如来の一切の秘要の蔵、如来の一切の甚深の事、皆此の経に於て宣示顕説す」等云云。釈に云く「経中の要説、要は…

上野殿御返事

〔C4・弘安四年三月一八日・南条時光〕/蹲鴟(いものかしら)一俵給はり了んぬ。又かうぬし(神主)のもとに候御乳塩(ちしお)一疋、並びに口付一人候。/さては故五郎殿の事はそのなげきふりずとおもへども、御げざん(見参)ははるかなるやうにこそお…

桟敷女房御返事

〔C0・弘安五年二月一七日・桟敷女房〕/白きかたびら布一切給はり了んぬ。法華経を供養しまいらせ候に、十種くやう(供養)と申す十のやう候。其の中に衣服と申し候はなににても候へ、僧のき候物をくやうし候。其の因縁をとかれて候には、過去に十万億の仏を…

上野尼御前御返事

〔C0・弘安四年一月一三日・南条時光母尼〕/聖人ひとつつ(筒)、ひさげ(提子)十か、十字百、飴ひとをけ(一桶)、二升か、柑子ひとこ(一籠)、串柿十くし、ならびにくり(栗)、給はり候ひ了んぬ。春のはじめ御喜び、花のごとくひらけ、月のごとくみた…

重須殿女房御返事

〔C0・弘安四年一月五日・重須殿女房〕/十字一百まい・かし(菓子)ひとこ(一籠)給はり了んぬ。正月の一日は日のはじめ、月の始め、としのはじめ、春の始め。此れをもてなす人は月の西より東をさしてみつがごとく、日の東より西へわたりてあきらかなる…

王日殿御返事

〔C2・弘安元年・王日〕/弁房の便宜に三百文、今度二百文給はり了んぬ。仏は真に尊くして物によらず。昔の得勝童子は沙の餅を仏に供養し奉りて、阿育大王と生まれて、一閻浮提の主たりき。貧女の我がかしら(頭)をおろして油と成せしが、須弥山を吹きぬ…

大夫志殿御返事

〔C2・弘安三年一一月(或は一二月)・池上宗仲〕/小袖一つ・直垂三具・同じく腰三具等云云。小袖は七貫、直垂並びに腰は十貫、已上十七貫文に当たれり。/夫れ以みれば天台大師の御位を章安大師顕はして云く「止観の第一に序文を引きて云く、安禅として…

諫暁八幡抄

〔C2・弘安三年一二月・門下全体〕/夫れ馬は一歳二歳の時は、設ひつがい(関節)のび、まろすね(円脛)にすねほそく、うでのびて候へども病あるべしとも見えず。而れども七八歳なんどになりて身もこへ、血ふとく、上かち下をくれ候へば、小…

上野殿御返事

〔C4・弘安三年一二月二七日・南条時光〕/鵞目一貫文送り給び了んぬ。御心ざしの候へば申し候ぞ。よく(欲)ふかき御房とおぼしめす事なかれ。仏にやすやすとなる事の候ぞ、をしへまいらせ候はん。人のものををし(教)ふると申すは、車のおもけれと…

智妙房御返事

〔C0・弘安三年一二月一八日・智妙房〕/鵞目一貫送り給びて法華経の御宝前に申し上げ候ひ了んぬ。/なによりも故右大将家の御廟と故権大夫殿の御墓とのやけて候由承はりてなげき候へば、又八幡大菩薩並びに若宮のやけさせ給ふ事、いかんが人のな…

四条金吾許御文

〔C6・弘安三年一二月一六日・四条金吾〕/白小袖一つ・綿十両慥かに給はり候ひ畢んぬ。/歳もかたぶき候。又処は山中の風はげしく、庵室はかごの目の如し。うちしく物は草の葉、きたる物はかみぎぬ(紙衣)、身のひ(冷)ゆる事は石の如し。食物は氷の如…

南条殿御返事錯簡

〔C1・弘安元年〕/凡夫にてをはせし時、不妄語戒を持ちて、まなこをぬかれ、かわをはがれ、ししむらをやぶられ、血をすはれ、骨かれ、子を殺され、め(妻)をうばわれ、なんどせしかども、無量劫が間一度もそら事なくして其の功に依りて仏となり給…

南条殿御返事

〔C1・弘安三年一二月中旬・南条時光及び母尼〕/牙(しらげごめ)二石、並びに鵄(いも)一だ(駄)、故五郎殿百ケ日等云云。/法華経の第七に云く「川流江河諸水の中に海為れ第一なり。此の法華経も亦復是の如し」等云云。此の経文は法華経をば大海に…

日厳尼御前御返事

〔C6・弘安三年一一月二九日・日厳尼御前〕/弘安三年十一月八日、尼日厳の立て申す立願の願書、並びに御布施の銭一貫文、又たふかたびら(太布帷子)一つ、法華経の御宝前並びに日月天に申し上げ候ひ畢んぬ。其の上は私に計り申すに及ばず候。叶ひ…

富木殿御返事

〔C0・弘安四年一一月二九日・富木常忍及び尼御前〕/鵞目一結ひ、天台大師の御宝前を荘厳し候ひ了んぬ。/経に云く「法華最第一なり」。又云く「能く是の経典を受持すること有らん者も亦復是の如し。一切衆生の中に於て亦為れ第一なり」。又云く「其の福復…

上野殿母尼御前御返事

〔C2・弘安三年一〇月二四日・南条時光母尼〕/南条の故七郎五郎殿の四十九日御菩提のために送り給ふ物の日記の事。鵞目両ゆひ・白米一駄・芋一駄・すりだうふ(摺豆腐)・こんにゃく・柿一籠・ゆ(柚)五十等云云。/御菩提の御ために法華経一部・自我偈数度・…

大豆御書

〔C3・弘安三年一〇月二三日(或は一二月三日)・波木井実長〕/大豆一石かしこまって拝領し了んぬ。法華経の御宝前に申し上げ候。一渧(いってい)の水を大海になげぬれば三災にも失せず、一華を五浄によせぬれば劫火にもしぼまず、一豆を法華経に…

刑部左衛門尉女房御返事

〔C6・弘安三年一〇月二一日・尾張刑部左衛門殿女房〕/今月飛来の雁書に云く、此の十月三日、母にて候もの十三年に相当たれり。銭二十貫文等云云。/夫れ外典三千余巻には忠孝の二字を骨とし、内典五千余巻には孝養を眼とせり。不孝の者をば日月も光ををし…

両人御中御書

〔C0・弘安元年一〇月二〇日・日朗・池上宗仲〕/ゆづり状をたがうべからず。/大国阿闍梨・ゑもん(衛門)のたいう(大夫)志殿等に申す。故大進阿闍梨の坊は各々の御計らひに有るべきかと存じ候に、今に人も住せずなんど候なるは、いかなる事そ…

四条金吾殿御返事

〔C6・弘安三年一〇月八日(或は七月八日)・四条金吾〕/殿岡より米送り給び候。今年七月盂蘭盆供の僧膳にして候。自恣の僧・霊山の聴衆・仏陀・神明も納受随喜し給ふらん。尽きせぬ志、連々の御訪ひ、言を以て尽くしがたし。何となくとも殿の事は後生菩提…

妙一女御返事

〔C6・弘安三年一〇月五日・妙一女〕/去ぬる七月中旬の比、真言法華の即身成仏の法門、大体注し進らせ候ひし。其の後は一定法華経の即身成仏を御用ゐ候らん。さなく候ひては当世の人々の得意候、無得道の即身成仏なるべし。不審なり。先日書きて進らせ候ひ…

光日尼御返事

〔C1・弘安二年九月一九日・光日尼〕/なきな(名)をながさせ給ふにや。三つのつな(綱)は今生に切れぬ。五つのさわり(障)はすでにはれぬらむ。心の月くもりなく、身のあか(垢)きへはてぬ。即身の仏なり。たうとし、たうとし。くはしく申すべく候へども…

南条殿御返事

〔C1・弘安三年(九月六日以降ほどなく)・南条時光及び母尼〕/はくまい(白米)ひとふくろ(一袋)、いも(芋)一だ(駄)給はり了んぬ。抑故なんでう(南条)の七らうごらうどの(五郎殿)の事、いままではゆめ(夢)かゆめか、まぼろし(幻)かまぼろしか…

上野殿御返事

〔C2・弘安三年九月六日・南条時光及び母尼〕/南条七郎五郎殿の御死去の御事、人は生まれて死するならいとは、智者も愚者も上下一同に知りて候へば、始めてなげくべしをどろくべしとわをぼへぬよし、我も存じ人にもをしへ候へども、時にあ…

松野殿女房御返事

〔C6・弘安三年九月一日・松野殿女房〕/白米一斗・芋一駄・梨子一籠・茗荷・はじかみ・枝大豆・ゑびね(山葵)、旁(かたがた)の物給はり候ひぬ。濁れる水には月住まず。枯たる木には鳥なし。心なき女人の身には仏住み給はず。法華経を持つ女人は澄め…

内房女房御返事

〔C6・弘安三年八月一四日・内房女房〕/内房よりの御消息に云く、八月九日、父にてさふらひし人の百箇日に相当りてさふらふ。御布施料に十貫まいらせ候、乃至あなかしこあなかしこ。御願文の状に云く「読誦し奉る妙法蓮華経一部、読誦し奉る方便寿量品三十巻…

妙一女御返事

〔C6・弘安三年七月一四日・妙一女〕/問うて云く、日本国に六宗・七宗・八宗有り。何れの宗に即身成仏を立つるや。答へて云く、伝教大師の意は唯法華経に限り、弘法大師の意は唯真言に限れり。/問うて云く、其の証拠如何。答へて云く、伝教大師の秀句に云く…

盂蘭盆御書

〔C0・弘安二年七月一三日・治部房祖母〕/御返事ぢぶどの(治部殿)のうばごぜんのかへり事、日蓮。/牙(こめ)一俵・やいごめ(焼米)・うり・なすび等、仏前にささげて申し上げ候ひ了んぬ。/盂蘭盆と申し候事は、仏の御弟子の中に目連尊者と…

浄蔵浄眼御消息

〔C6・弘安三年七月七日・松野殿及びその女房〕/きごめ(生米)の俵一・瓜籠一・根芋、品々の物給はり候ひ畢んぬ。/楽徳と名付けける長者に身を入れて我が身も妻も子も、夜も昼も責め遣はれける者が、余りに責められ堪えがたさに、隠れて他国に行き…