2018-06-22から1日間の記事一覧

六因四縁事

〔C1・建長末年〕/一、所作因。二、共因。三、自種因。四、返因。五、相応因。六、報因。/新同新訳名等無間縁┌名所縁々新同/四縁〈大論三十二〉一、因縁。二、次第縁。三、縁々。四、増上縁。/┌他を碍げず/所作因/相応因〈心と心数法は相を同じくし縁…

色心二法抄

〔C5・寛元二年九月一七日〕/先づ、止観・真言に付きて此の旨を能く能く意得べきなり。先づ此の旨を意得ば、大慈悲心・菩提心を意得べし。其の故如何となれば、世間の事を案ずるも、猶心をしづめざれば意得難し。何に況や、仏教の道、生…

波木井殿御書

〔C6・弘安五年一〇月七日・波木井実長・他人々〕/日蓮は日本国、人王八十五代後堀河院の御宇、貞応元年〈壬午〉、安房の国長狭の郡東条郷の生まれなり。仏の滅後二千百七十一年に当たるなり。八十六代四条院の天福元年〈癸巳〉十二歳にして清澄寺に登り、道…

波木井殿御報

〔C6・弘安五年九月一九日・波木井実長〕/畏み申し候。みち(道)のほど(程)べち(別)事候はで、いけがみ(池上)までつきて候。みちの間、山と申し、かわ(河)と申し、そこばく大事にて候ひけるを、きうだち(公達)にす護せられまいらせ候ひて、難も…

身延山御書

〔C6・建治元年八月〕/誠に身延山の栖は、ちはやふる神もめぐみを垂れ天下りましますらん。心無きしづの男しづの女までも心を留めぬべし。哀れを催す秋の暮には、草の庵に露深く、檐にすだ(集多)くささがに(蜘蛛)の糸玉を連き、紅葉いつしか色…

上野殿御書

〔C6・建治元年八月一八日・南条時光〕/態と御使ひ有り難く候。夫れについては屋形造りの由、目出度くこそ候へ。何か参り候ひて移徙(わたまし)申し候はばや。/一つ棟札の事承り候。書き候ひて此の伯耆公に進らせ候。此の経文は須達長者、祇園精舎を造りき…

莚三枚御書

〔C1・弘安二年三月上旬・南条時光〕/莚三枚・生和布一籠給はり了んぬ。/抑三月一日より四日にいたるまでの御あそびに、心なぐさみてやせやまいもなをり、虎とるばかりをぼへ候上、此の御わかめ給はりて師子にのりぬべくをぼへ候。さては財は…

法華証明抄

〔C0・弘安五年二月二八日・日興〕/法華経の行者日蓮(花押)/末代悪世に法華経を経のごとく信じまいらせ候者をば、法華経の御鏡にはいかんがうかべさせ給ふと拝見つかまつり候へば、過去に十万億の仏を供養せる人なりと、たしかに釈迦仏の金口の…

伯耆公御房御消息

〔C5・弘安五年二月二五日・日興〕/御布施御馬一疋鹿毛御見参に入らしめ候ひ了んぬ。/兼ねて又此の経文は二十八字、法華経の七の巻薬王品の文にて候。然るに聖人の御乳母の、ひととせ(一年)御所労御大事にならせ給い候ひて、やがて死なせ給いて候ひし時、…

春の始御書

〔C2・弘安五年一月〕/春の始めの御悦び、花のごとくひらけ、月のごとくあきらかにわたらせ給ふべし。さては(終)

春初御消息

〔C6・弘安四年一月二〇日・南条時光〕/ははき(伯耆)殿かきて候事、よろこびいりて候。/春の初めの御悦び、木に花のさくがごとく、山に草の生ひ出づるがごとしと我も人も悦び入りて候。さては御送り物の日記、八木一俵・白塩一俵・十字三十…

内記左近入道殿御返事

〔C0・弘安五年一月一四日・内記左近入道〕/追申。御器の事は越後公御房申し候べし。御心ざしのふかき由、内房へ申させ給ひ候へ。/春の始めの御悦び、自他申し籠め候ひ了んぬ。抑去年の来臨は曇華の如し。将又夢か幻か。疑ひいまだ晴れず候処に、…

四条金吾殿御返事

〔C2・弘安五年一月七日・人々(四条金吾)〕/満月のごとくなるもちゐ(餅)二十・かんろ(甘露)のごとくなるせいす(清酒)一つつ給はり候ひ了んぬ。春のはじめの御悦びは月のみつるがごとく、しを(潮)のさすがごとく、草のかこむが如く、雨のふ…

妙法尼御前御返事

〔C6・弘安四年・妙法尼〕/明衣(ゆかたびら)一つ給はり畢んぬ。/女人の御身、男にもをくれ、親類をもはなれ、一二人あるむすめもはかばかしからず便りなき上、法門の故に人にもあだまれさせ給ふ女人、さながら不軽菩薩の如し。仏の御姨母、摩訶波…

窪尼御前御返事

〔C4・建治三年冬か弘安元年冬・窪尼(高橋殿後家尼)〕/あまざけ一をけ、やまのいも、ところ(野老)せうせう給はり了んぬ。梵網経と申す経には一紙一草と申して、かみ一枚、くさひとつ。大論と申すろんにはつち(土)のもちゐ(餅)を仏にくやうせるもの、閻浮提…

大白牛車御消息

〔C6・弘安四年〕/抑法華経の大白牛車と申すは、我も人も法華経の行者の乗るべき車にて候なり。彼の車をば法華経の譬喩品と申すに懇ろに説かせ給ひて候。但し彼の御経は羅什、存略の故に委しくは説き給はず。天竺の梵品には車の荘り物、其の外、聞・信…

窪尼御前御返事

〔C4・弘安二年一二月二七日・窪尼(高橋殿後家尼)〕/しなじなのものをくり給びて候。/善根と申すは大なるによらず、又ちいさきにもよらず、国により、人により、時により、やうやうにかわりて候。譬へばくそ(糞)をほしてつきくだき、ふるいて、…

大夫志殿御返事

〔C6・弘安四年一〇月一一日・池上宗仲〕/聖人(せいじん)一つつ・味文字(みもじ)一をけ・生和布(なまわかめ)一こ、聖人と味文字はさてをき候ひぬ。生和布は始めてにて候。将又病の由聞かせ給ひて、不日に此の物して、御使ひをもって脚力(かくりき)につか…

上野殿母尼御前御返事

〔C0・弘安四年一二月八日・南条時光母尼〕/乃米一だ・聖人一つつ〈二十ひさげか〉、かんかう(乾薑)ひとかうぶくろ(一紙袋)おくり給び候ひ了んぬ。/このところのやうせんぜんに申しふり候ひぬ。さては去ぬる文永十一年六月十七日この山に入り候ひ…

老病御書

〔C1・弘安四年(一〇月二二日)・富木常忍〕/追申。老病の上、不食気いまだ心よからざるゆへに、法門なんどもかきつけて申さずして、さてはてん事なげき入りて候。又三島の左衛門次郎がもとにて法門伝へて候ひけるが、始中終かきつけて給はり候…

地引御書

〔C3・弘安四年一一月二五日・波木井実長〕/坊は十間四面に、またひさし(庇)さしてつくりあげ、二十四日に大師講並びに延年、心のごとくつかまりて、二十四日の戌亥の時、御所にすゑ(集会)して、三十余人をもって一日経かきまいらせ、並びに申酉の刻…

上野尼御前御返事

〔C2・弘安三年一一月一五日・南条時光母尼〕/牙(しらげごめ)一駄〈四斗定〉・あらひいも(洗芋)一俵送り給びて南無妙法蓮華経と唱へまいらせ候ひ了んぬ。妙法蓮華経と申すは蓮に譬へられて候。天上には摩訶曼陀羅華、人間には桜の花、此等はめでたき…

富城入道殿御返事

〔C5・弘安四年一〇月二二日・富木常忍〕/今月十四日の御札、同じき十七日到来。又去ぬる後の七月十五日の御消息、同じき二十日比到来せり。其の外度々の貴札を賜はると雖も、老病為るの上又不食気に候間、未だ返報を奉らず候条、其の恐れ少なからす…

上野殿御返事

〔C6・弘安四年九月二〇日・南条時光〕/いゑ(家)のいも(芋)一駄・ごばう(牛蒡)一つと(苞)・大根六本。いもは石のごとし、ごばう(牛蒡)は大牛の角のごとし。大根は大仏堂の大くぎのごとし。あぢわひは利天(とうりてん)の甘露のごとし。石…

南条殿御返事

〔C6・弘安四年九月一一日・南条氏某〕/御使ひの申し候を承り候。是の所労難儀のよし聞こえ候。いそぎ療治をいたされ候ひて御参詣有るべく候。/塩一駄・大豆一俵・とっさか(鶏冠菜)一袋・酒一筒給はり候。/上野国より御帰宅候後は未だ見参に入らず候…

治部房御返事

〔C6・弘安三年八月二二日・治部房〕/白米一斗、茗荷の子、はじかみ一つと送り給び候ひ畢んぬ。仏には春の花、秋の紅葉、夏の清水、冬の雪を進らせて候人々皆仏に成らせ給ふ。況や上一人は寿命を持たせ給ひ、下万民は珠よりも重くし候稲米を法華経にまい…

光日上人御返事

〔C3・弘安四年八月八日・光日尼〕/法華経二の巻に云く「其の人命終して阿鼻獄に入らん」云云。阿鼻地獄と申すは天竺の言、唐土日本には無間と申す。無間はひまなしとかけり。一百三十六の地獄の中に、一百三十五はひま候。十二時の中にあつけれども、又す…

曾谷二郎入道殿御報

〔C4・弘安四年閏七月一日・曾谷入道〕/日蓮/去ぬる七月十九日の消息、同月三十日に到来す。世間の事は且く之れを置く。専ら仏法に逆ふこと法華経第二に云く「其の人命終して阿鼻獄に入らん」等云云。問うて云く、其の人とは何等の人を指すや。答へて云く、…

小蒙古御書

〔C6・弘安四年六月一六日・人々(門下)〕/小蒙古の人大日本国に寄せ来たるの事。我が門弟並びに檀那等の中に、若しは他人に向かひ、将又自ら言語に及ぶべからず。若し此の旨に違背せば門弟を離すべき等の由、存知せる所なり。此の旨を以て人々…

八幡宮造営事

〔C6・弘安四年五月二六日・池上宗仲・宗長兄弟〕/此の法門申し候事すでに二十九年なり。日々の論義、月々の難、両度の流罪に身つかれ、心いたみ候ひし故にや、此の七八年が間、年々に衰病(やせやまい)をこり候ひつれども、なのめにて候ひつるが、今…