日厳尼御前御返事

〔C6・弘安三年一一月二九日・日厳尼御前〕/弘安三年十一月八日、尼日厳の立て申す立願の願書、並びに御布施の銭一貫文、又たふかたびら(太布帷子)一つ、法華経の御宝前並びに日月天に申し上げ候ひ畢んぬ。其の上は私に計り申すに及ばず候。叶ひ叶はぬは御信心により候べし。全く日蓮がとがにあらず。水すめば月うつる、風ふけば木ゆるぐごとく、みなの御心は水のごとし。信のよは(弱)きはにごるがごとし。信心のいさぎ(潔)よきはすめるがごとし。木は道理のごとし、風のゆるがすは経文をよむがごとしとをぼしめせ。恐々。/十一月二十九日日蓮花押/日厳尼御前御返事