2018-05-07から1日間の記事一覧

安国論書写依頼状

〔C0・文永六年五月二六日〕/立正安国論の正本、土木殿に候。かきて給はり候はん。ときどのか又。/五月二十六日日蓮(花押)

日妙聖人御書

〔C2・文永九年五月二六日・乙御前母尼(日妙聖人)〕/過去に楽法梵志と申す者ありき。十二年の間、多くの国をめぐりて如来の教法を求む。時に総じて仏法僧の三宝一つもなし。此の梵志の意は渇して水をもとめ、飢ゑて食をもとむるがごとく、仏法を尋ね…

諸宗違目事

〔C0・文永九年五月五日・富木常忍〕/土木殿等人々御中日蓮/空に読み覚えよ。老人等は具に聞き奉れ。早々に御免を蒙らざる事は之れを歎くべからず。定めて天之れを抑ふるか。藤河入道を以て之れを知れ。去年流罪有らば、今年横死に値ふべからざ…

四条金吾殿御返事

〔C6・文永一〇年五月二日・四条金吾〕/日蓮が諸難について御とぶらひ、今にはじめざる志ありがたく候。法華経の行者としてかかる大難にあひ候は、くやしくおもひ候はず。いかほど生をうけ死にあひ候とも、是れほどの果報の生死は候はじ。…

同生同名御書

〔C6・文永九年四月・四条金吾女房〕/此の御文は藤四郎殿の女房と、常によりあひて御覧あるべく候。/大闇をば日輪やぶる。女人の心は大闇のごとし、法華経は日輪のごとし。幼子は母をしらず、母は幼子をわすれず。釈迦仏は母のごとし、女人…

得受職人功徳法門抄

〔C6・文永九年四月一五日・最蓮房〕/受職とは因位の極際に始めて仏位を成ずるの義なり。此の受職に於て諸経と今経との異なり有り。余経の意は、等覚の菩薩妙覚の果位に叶ふの時、他方の仏来たりて妙覚の智水を以て等覚の頂に潅ぐを、受職の位潅頂と云ふ…

最蓮房御返事

〔C6・文永九年四月一三日・最蓮房〕/夕さりは相構へ相構へて御入り候へ。得受職人功徳法門委しく御申し候はん。/御札の旨委細承り候ひ畢んぬ。都よりの種々の物慥かに給はり候ひ畢んぬ。鎌倉に候ひし時こそ常にかかる物は見候ひつれ。此の島に流罪せられし…

土木殿御返事2

〔C0・文永九年四月一〇日・富木常忍〕/日蓮臨終一分も疑ひ無し。刎頭の時は殊に喜悦有るべく候。大賊に値ひて大毒を宝珠に易ふと思ふべきか。/鵞目員数の如く給はり候ひ了んぬ。御志申し遂げ難く候。法門の事、先度四条三郎左衛門尉殿に書持せしむ。…

佐渡御書

〔C6・文永九年三月二〇日・富木常忍・はじめ弟子檀那〕/此の文は富木殿のかた、三郎左衛門殿、大蔵たう(塔)のつじ(辻)十郎入道殿等、さじき(桟敷)の尼御前、一々に見させ給ふべき人々の御中へなり。京・鎌倉に軍に死ぬる人々を書き付けてたび候へ…

開目抄

〔C3・文永九年二月・有縁の弟子〕/夫れ一切衆生の尊敬すべき者三つあり。所謂主師親これなり。又習学すべき物三あり。所謂儒・外・内これなり。/儒家には三皇・五帝・三王、此等を天尊と号す。諸臣の頭目、万民の橋梁なり。三皇已前は父をしらず。人…

草木成仏口決

〔C6・文永九年二月二〇日・最蓮房〕/問うて云く、草木成仏とは、有情非情の中何れぞや。答へて云く、草木成仏とは、非情の成仏なり。問うて云く、情非情共に今経に於て成仏するや。答へて云く、爾なり。問うて云く、証文如何。答へて云く、妙法蓮華経是れ…

八宗違目抄

〔C0・文永一〇年〕/記の九に云く「若し其れ未だ開せざれば法報は迹に非ず。若し顕本し已れば本迹各三なり」。文句の九に云く「仏三世に於て等しく三身有り。諸教の中に於て之れを秘して伝へず」。/┌─法身如来┌─正因仏性/仏─┼─報身如来衆生─┼─了…

生死一大事血脈抄

〔C6・文永九年二月一一日・最蓮房〕/日蓮之れを記す/御状委細披見せしめ候ひ畢んぬ。夫れ生死一大事血脈とは、所謂妙法蓮華経是れなり。其の故は、釈迦・多宝の二仏、宝塔の中にして上行菩薩に譲り給ひて、此の妙法蓮華経の五字過去遠々劫より已来寸時も離…

法華浄土問答抄

〔C2・文永九年一月一七日〕/┌─理即/├─名字即───三諦の名を聞く/┌─穢土─┼─観行即───五品を明かす/││┌─八十八使の見惑を断ず/法華宗立六即─┤└─相似即─┼─八十一品の思惑を断ず/│└─九品の塵沙を断ず/│┌─分真即───四十一品の無明を断ず/└─報土─┤/└─究竟…

富木入道殿御返事

〔C6・文永八年一一月二三日・富木常忍〕/此の比は十一月の下旬なれば、相州鎌倉に候ひし時の思ひには、四節の転変は万国皆同じかるべしと存じ候ひし処に、此の北国佐渡の国に下著候ひて後、二月は寒風頻りに吹きて、霜雪更に降らざる時はあれど…

寺泊御書

〔C0・文永八年一〇月二二日・富木常忍〕/今月〈十月なり〉十日相州愛京郡依智の郷を起ちて、武蔵の国久目河の宿に付き、十二日を経て、越後の国寺泊の津に付きぬ。此れより大海を亘りて、佐渡の国に至らんと欲す。順風定まらず、其の期を知らず。道の間…

佐渡御勘気抄

〔C6・文永八年一〇月・清澄寺知友〕/九月十二日に御勘気を蒙りて、今年十月十日佐渡の国へまかり候なり。本より学文し候ひし事は仏教をきはめて仏になり、恩ある人をもたすけんと思ふ。仏になる道は、必ず身命をすつるほどの事ありてこそ仏にはなり候ら…

土籠御書

〔C6・文永八年一〇月九日・日朗〕/日蓮は明日佐渡の国へまかるなり。今夜のさむきに付けても、ろう(牢)のうちのありさま、思ひやられていたはしくこそ候へ。あわれ殿は、法華経一部を色心二法共にあそばしたる御身なれば、父母・六親・一切衆生をもたす…

転重軽受法門

〔C0・文永八年一〇月五日・大田乗明・曾谷入道・金原法橋〕/周利槃特と申すは兄弟二人なり。一人もありしかば、すりはんどくと申すなり。各々三人は又かくのごとし。一人も来たらせ給へば三人と存じ候なり。/涅槃経に転重軽受と申す法門あり。先…

五人土籠御書

〔C0・文永八年一〇月三日・日朗はじめ五人御中〕/せんあくてご房をばつけさせ給へ。ふしらうめが一人あらんするが、ふびんに候へば申す。今月七日さどの国へまかるなり。各々は法華経一部づつあそばして候へば、我が身並びに父母…

四条金吾殿御消息

〔C6・文永八年九月二一日・四条金吾〕/度々の御音信申しつくしがたく候。さてもさても去ぬる十二日の難のとき、貴辺たつのくち(竜口)までつれさせ給ひ、しかのみならず腹を切らんと仰せられし事こそ、不思議とも申すばかりなけれ。/日蓮過去に妻子…

土木殿御返事2

〔C0・文永八年九月一五日・富木常忍〕/上のせめさせ給ふにこそ法華経を信じたる色もあらわれ候へ。月はかけてみち、しを(潮)はひてみつ事疑ひなし。此れも罰あり必ず徳あるべし。なにしにかなげかん。/此の十二日酉の時御勘気。武蔵守殿御あづか…

一昨日御書

〔C6・文永八年九月一二日・平左衛門尉頼綱〕/一昨日見参に罷り入り候の条悦び入り候。抑人の世に在る誰か後世を思はざらん。仏の出世は専ら衆生を救はんが為なり。爰に日蓮比丘と成りしより、旁(かたがた)法門を開き已に諸仏の本意を覚り、早く出離…

行敏訴状御会通

〔C3・文永八年・良観房等〕/当世日本第一の持戒の僧良観聖人、並びに法然上人の孫弟子念阿弥陀仏・道阿弥陀仏等諸聖人等の、日蓮を訴訟する状に云く「早く日蓮を召し決せられて邪見を摧破し、正義を興隆せんと欲する事」云云。日蓮云く「邪見を摧破し正義…

行敏御返事

〔C2・文永八年七月一三日・行敏〕/行敏初度の難状/未だ見参に入らずと雖も、事の次(ついで)を以て申し承るは常の習ひに候か。抑風聞の如くんば所立の義尤も以て不審なり。法華の前に説ける一切の諸経は皆是れ妄語にして出離の法に非ずと〈是一〉…

四条金吾殿御書

〔C6・文永八年七月一二日・四条金吾〕/雪のごとく白く候白米一斗、古酒のごとく候油一筒、御布施一貫文。態と使者を以て盆料送り給び候。殊に御文の趣有り難くあはれに覚え候。/抑盂蘭盆と申すは源目連尊者の母青提女と申す人、慳貪の業によりて五百…

十章抄

〔C1・文永六年・三位房〕/華厳宗と申す宗は華厳経の円と法華経の円とは一なり。而れども法華経の円は華厳の円の枝末と云云。法相・三論も又々かくのごとし。天台宗、彼の義に同ぜば別宗と立ててなにかせん。例せば法華・涅槃は一つ円なり。先後に…

南部六郎殿御書

〔C6・文永八年五月一六日・波木井実長〕/眠れる師子に手を付けざれば瞋らず、流れにさをを立てざれば浪立たず、謗法を呵責せざれば留難なし。「若善比丘見壊法者置不呵責」の「置」の字をおそれずんば今は吉し、後を御らんぜよ、無間…

月満御前御書

〔C6・文永八年(五月以降)八日・四条金吾〕/若童生まれさせ給ひし由承り候。目出たく覚え候。殊に今日は八日にて候。彼れと云ひ、此れと云ひ、所願しを(潮)の指すが如く、春の野に華の開けるが如し。然ればいそぎいそぎ名をつけ奉る。月満(つきま…

四条金吾女房御書

〔C6・文永八年五月・四条金吾女房〕/懐胎のよし承り候ひ畢んぬ。それについては符の事仰せ候。日蓮相承の中より撰み出だして候。能く能く信心あるべく候。たとへば秘薬なりとも、毒を入れぬれば薬の用すくなし。つるぎ(剣)なれども、わるびれ…