2018-05-07から1日間の記事一覧

木絵二像開眼之事

〔C3・文永一〇年〕/仏に三十二相有り、皆色法なり。最下の千輻輪より終り無見頂相に至るまでの三十一相は、可見有対色なれば書きつべし作りつべし。梵音声の一相は、不可見無対色なれば書くべからず作るべからず。仏滅後は木画の二像あり…

呵責謗法滅罪抄

〔C6・文永一一年三月以前・四条金吾〕/御文委しく承り候。法華経の御ゆへに已前に伊豆の国に流され候ひしも、かう申せば謙らぬ口と人はおぼすべけれども、心ばかりは悦び入りて候ひき。無始より已来、法華経の御ゆへに、実にても虚事にても科に…

小乗大乗分別抄■

〔C2・文永八年〕/夫れ小大定めなし。一寸の物を一尺の物に対しては小と云ひ、五尺の男に対しては六尺・七尺の男を大の男と云ふ。外道の法に対しては一切の大小の仏教を皆大乗と云ふ。「大法東漸通指仏教以為大法」等と釈する是れなり。仏教に入りても鹿苑十…

当体義抄送状

〔C6・文永一〇年・最蓮房〕/問ふ、当体蓮華解し難し。故に譬喩を仮りて之れを顕はすとは、経文に証拠有るか。答ふ、経に云く「世間の法に染まざること、蓮華の水に在るが如し、地より而も涌出す」云云。地涌の菩薩の当体蓮華なり。譬喩は知んぬべし。…

当体義抄

〔C6・文永一〇年・最蓮房〕/問ふ、妙法蓮華経とは其の体何物ぞや。答ふ、十界の依正即ち妙法蓮華の当体なり。/問ふ、若し爾れば我等が如き一切衆生も妙法の全体なりと云はるべきか。答ふ、勿論なり。経に云く「所謂諸法乃至本末究竟等」云云。妙楽…

直垂御書

〔C1・建治二年〕/この御ふみ人にきかせ給ふべからず候。もし人々志ざしなんどあるならば、この三人のわらは(童)がひたたれ(直垂)・ぬのこそで(布小袖)なんどのしたくせさせ給ふべし。事かけて候わば、かたびらていのものなり。大進の…

乙御前母御書

〔C0・文永一〇年一一月三日・乙御前母尼(日妙聖人)〕/をとごぜんのはは日蓮/いまは法華経をしのばせ給ひて仏にならせ給ふべき女人なり。かへすがへす、ふみ(文)ものぐさき者なれども、たびたび申し候。又御房たちをもふびん(不憫)にあ…

土木殿御返事4

〔C0・文永一〇年一一月三日・富木常忍〕/九月九日の雁鳥、同十月二十七日飛来仕り候ひ了んぬ。抑越州嫡男並びに妻尼の御事是非を知らざれども、此の御一門の御事なれば謀叛よりの外は異島流罪は過分の事か。はた又、四条三郎左衛門尉殿の便風、今に…

大果報御書

〔C6・文永一〇年九月頃・四条金吾〕/者どもをば少々はをひいだし、或はきしやう(起請)かかせて、はう(法)にすぎて候ひつるが、七月末、八月の始めに所領かわり、一万余束の作毛をさへかられて、山や(野)にまど(惑)ひ候ゆへに、日蓮房をばう(…

弁殿御返事

〔C0・文永一〇年九月一九日・日昭及び妙一尼〕/しげければとどむ。弁殿に申す。大師講ををこなうべし。大師とてまいらせて候。三郎左衛門尉殿に候文のなかに、涅槃経の後分二巻・文句五の本末・授決集の抄の上巻等、御随身あるべし。/貞任は十…

経王御前御返事

〔C6・文永一〇年八月一五日・経王御前〕/其の後御をとづれ(音信)きかまほしく候ひつるところに、わざと人ををくり給ひ候。又何よりも重宝たるあし(銭)、山海を尋ぬるとも日蓮が身には時に当たりて大切に候。夫れについて経王御前の事、二六時中に日月…

南部六郎三郎殿御返事

〔C4・文永一〇年八月三日・南部六郎三郎〕/鎌倉に筑後房・弁阿闍梨・大進阿闍梨と申す小僧等之れ有り。之れを召して御尊み有るべし、御談義有るべし。大事の法門等粗申す。彼等は日本に未だ流布せざる大法少々之れを有す。随って御学問注し申すべ…

土木殿御返事3

〔C0・文永一〇年七月六日・富木常忍〕/鵞目二貫給はり候ひ了んぬ。太田殿と其れと二人の御心か。伊与殿は機量物にて候ぞ。今年留め候ひ了んぬ。御勘気ゆりぬ事、御歎き候べからず候。当世日本国に子細之れ有るべき由之れを存す。定めて勘文の如く候…

顕仏未来記

〔C3・文永一〇年閏五月一一日〕/沙門日蓮之れを勘ふ/法華経の第七に云く「我が滅度の後、後の五百歳の中に、閻浮提に広宣流布して、断絶せしむること無けん」等云云。予一たびは歎きて云く、仏滅後既に二千二百二十余年を隔つ。何なる罪業に依りて仏の…

如説修行抄

〔C5・文永一〇年五月・特定者なし〕/夫れ以みれば、末法流布の時生を此の土に受け此の経を信ぜん人は、如来の在世より猶多怨嫉の難甚だしかるべしと見えて候なり。其の故は在世は能化の主は仏なり。弟子又大菩薩・阿羅漢なり。人天・四衆・八部・人…

義浄房御書

〔C6・文永一〇年五月二八日・義浄房〕/御法門の事委しく承り候ひ畢んぬ。法華経の功徳と申すは唯仏与仏の境界、十方分身の智恵も及ぶか及ばざるかの内証なり。されば天台大師も妙の一字をば、「妙とは妙は不可思議に名づく」と釈し給ひて候なる…

諸法実相抄

〔C6・文永一〇年五月一七日・最蓮房〕/日蓮之れを記す/問うて云く、法華経の第一方便品に云く「諸法実相乃至本末究竟等」云云。此の経文の意如何。答へて云く、下地獄より上仏界までの十界の依正の当体、悉く一法ものこさず妙法蓮華経のすがたなりと…

正当此時御書

〔C1・文永一一年〕/正しく此の時に当たる。而も随分の弟子等に之れを語るべしと雖も、国難・王難・数見難等重々来たるの間、外聞の憚り之れを存じ、今に正義を宣べざれば、我が弟子等定めて遺恨あらんか。又抑時の失之れ有る故今粗之れを注す。…

妙一尼御返事

〔C0・文永一〇年四月二六日・妙一尼〕/滝王丸、之れを遣使さる。昔国王は自身を以て床座と為し、千歳の間阿志仙に仕へ奉り、妙法蓮華経の五字を習ひ持つ。今の釈尊是れなり。今の施主妙一比丘尼は、貧道の身を扶けんとて小童に命じ、之れを使ひとして法華…

観心本尊抄副状

〔C0・文永一〇年四月二六日・富木常忍・大田乗明・曾谷入道〕/帷一つ、墨三長、筆五巻給はり候ひ了んぬ。観心の法門少々之れを注し、大田殿・教信御房等に奉る。此の事日蓮当身の大事なり。之れを秘して、無二の志を見ば之れを開せらるべきか。此の書は…

如来滅後五五百歳始観心本尊抄

〔C0・文永一〇年四月二五日・富木常忍・大田乗明・曾谷入道・他〕/本朝沙門日蓮撰/摩訶止観第五に云く〈世間と如是と一なり、開合の異なり〉「夫れ一心に十法界を具す。一法界に又十法界を具すれば百法界なり。一界に三十種の世間を具すれば百法界に即…

妙法曼陀羅供養事

〔C6・文永一〇年〕/妙法蓮華経の御本尊供養候ひぬ。此の曼陀羅は文字は五字七字にて候へども、三世諸仏の御師、一切の女人の成仏の印文なり。冥途にはともしびとなり、死出(しで)の山にては良馬となり、天には日月の如し、地には須弥山の如し。生死海…

法華宗内証仏法血脈

〔C6・文永一〇年二月一五日〕/夫れ妙法蓮華経宗とは、久遠実成三身即一の釈迦大牟尼尊、常寂光土霊山浄土唯一教主の所立なり。所謂妙法蓮華経第七に仏説いて言く「諸経の中の王なり」〈已上経文〉。霊山の聴衆たる天台大師の云く「今経は則ち諸経の法王と成…

祈祷経送状

〔C6・文永一〇年一月二八日・最蓮房〕/御札の旨委細承はり候ひ畢んぬ。兼ねては又末法に入りて法華経を持ち候者は、三類の強敵を蒙り候はん事は、面拝の時大概申し候ひ畢んぬ。仏の金言にて候上は不審を致すべからず候か。然らば則ち日蓮も此の法華経…

経王御前御書

〔C6・文永九年・経王御前〕/種々御送り物給はり候ひ畢んぬ。法華経第八妙荘厳王品と申すには、妙荘厳王と浄徳夫人とは浄蔵・浄眼と申す太子に導かれ給ふと説かれて候。経王御前を儲けさせ給ひて候へば、現世には跡をつぐべき孝子なり。後生には又導か…

祈祷抄

〔C3・文永九年〕/本朝沙門日蓮撰/問うて云く、華厳宗・法相宗・三論宗・小乗の三宗・真言宗・天台宗の祈りをなさんに、いづれかしるしあるべきや。答へて云く、仏説なればいづれも一往は祈りとなるべし。但法華経をもていのらむ祈りは必ず祈り…

四条金吾殿御返事

〔C4・文永九年九月八日・四条金吾〕/夫れ斉の桓公と申せし王、紫をこのみて服(き)給ひき。楚の荘王と言ひし王は女の腰のふとき事をにくみしかば、一切の遊女、腰をほそからせんがために餓死しけるものおほし。しかれば一人の好む事をば、我が心に…

夢想御書

〔C0・文永九年一〇月〕/文永九年〈太歳壬申〉十月二十四日の夜の夢想に云く、来年正月九日蒙古月相国治罰の為に大小向かふべし等云云。

真言見聞

〔C6・文永九年七月〕/問ふ、真言亡国とは証文何なる経論に出づるや。答ふ、法華誹謗、正法向背の故なり。問ふ、亡国の証文之れ無くば云何に信ずべきや。答ふ、謗法の段は勿論なるか。若し謗法ならば亡国堕獄疑ひ無し。凡そ謗法とは、謗仏・謗僧な…

弁殿御消息

〔C0・文永九年七月二六日・日昭・大進阿闍梨・三位殿〕/不審有らば諍論無く書き付けて進らしむべし。/この書は随分の秘書なり。已前の学文の時も、いまだ存ぜられざる事粗之れを載す。他人の御聴聞なからん已前に御存知有るべし。総じてはこ…