2018-05-10から1日間の記事一覧

教行証御書

〔C6・弘安元年三月二一日・三位房〕/夫れ正像二千年に小乗・権大乗を持依して、其の功を入れて修行せしかば大体其の益有り。然りと雖も、彼々の経を修行せし人々は、自依の経々にして益を得ると思へども、法華経を以て其の意を探れば一分の益なし。所…

諸人御返事

〔C0・弘安元年三月二一日・諸人〕/三月十九日の和風並びに飛鳥、同じく二十一日戌の時到来す。日蓮一生の間の祈請並びに所願、忽ちに成就せしむるか。将又、五五百歳の仏記、宛かも符契の如し。所詮真言・禅宗等の謗法の諸人等を召し合はせ是非を決せ…

立正安国論広本

〔C0・弘安元年〕/沙門日蓮勘/旅客来たりて歎きて曰く、近年より近日に至るまで天変・地夭・飢饉・疫癘、遍く天下に満ち広く地上に迸る。牛馬巷に斃れ、骸骨路に充てり。死を招くの輩既に大半に超え、之れを悲しまざるの族敢へて一人も無し。然る間、或…

弘安改元事

〔C1・弘安元年三月上旬〕/弘安元年〈太歳戊寅〉、建治四年二月二十九日改元。疫病の故か。

始聞仏乗義

〔C0・建治四年二月二八日・富木常忍〕/青鳧(せいふ)七結、下州より甲州に送らる。其の御志悲母の第三年に相当たる御孝養なり。/問ふ、「止観明静前代未聞」の心如何。答ふ、「円頓止観」なり。問ふ、円頓止観の意何。答ふ、法華三昧の異名なり。問ふ、法華…

持妙尼御前御返事

〔C4・建治二年二月二五日・持妙尼(高橋殿後家尼)〕/蹲鴟(いものかしら)、くしがき(串柿)、焼米、栗、たかんな(筍)、すづつ(酢筒)給はり候ひ了んぬ。/月氏に阿育大王と申す王をはしき。一閻浮提四分の一をたなごころ(掌)ににぎり、竜王をしたがへ…

三沢抄

〔C4・建治四年二月二三日・三沢殿〕/かへすがへす、するが(駿河)の人々みな同じ御心と申させ給ひ候へ。柑子一百・こぶ(昆布)・のり(海苔)・をご(於胡)等のすず(種々)の物、はるばるとわざわざ山中へをくり給びて候。ならびにうつぶ…

松野殿御返事

〔C2・建治四年二月一三日・松野殿〕/種々の物送り給び候ひ畢んぬ。山中のすまゐ思ひ遣らせ給ひて、雪の中ふみ分けて御訪ひ候事、御志定めて法華経・十羅刹も知ろし食し候らん。/さては涅槃経に云く「人命の停まらざることは山水にも過ぎたり。今日存…

四条金吾殿御書

〔C6・建治四年一月二五日・四条金吾〕/鷹取のたけ(岳)・身延のたけ・なないた(七面)がれのたけ・いいだに(飯谷)と申し、木のもと、かや(萱)のね、いわの上、土の上、いかにたづね候へどもをひて候ところなし。されば海にあらざればわかめなし…

松野尼御前御返事

〔C1・弘安四年一月二一日・松野殿尼御前〕/と申す鳥となれり。日本国の人にはにくまれ候ひぬ。みち(道)ふみわくる人も候はぬに、をもいよらせ給ひての御心ざし、石の中の火のごとし、火の中の蓮のごとし。ありがたく候、ありがたく候。恐々謹言。…