窪尼御前御返事

〔C4・弘安三年一二月二七日・窪尼(高橋殿後家尼)〕/十字五十まい、くしがき(串柿)一れん(連)、あめをけ(飴桶)一つ送り給び了んぬ。御心ざしさきざきかきつくして、ふで(筆)もつ(禿)び、ゆびもたたぬ。三千大千世界に七日ふる雨のかずはかずへつくしてん、十方世界の大地のちり(塵)は知る人もありなん。法華経の一字供養の功徳は知りがたしとこそ、仏はとかせ給ひて候へ。此れをもて御心へあるべし。恐々謹言。/十二月二十七日日蓮花押/くぼの尼御前御返事