松野殿御返事

〔C6・弘安元年五月一日・妙法尼〕/日月は地におち須弥山はくづるとも、彼の女人仏に成らせ給はん事疑ひなし。あらたのもしや、たのもしや。干飯一斗・古酒一筒・ちまき(角粽)・あうざし(青)・たかんな(筍)方々の物送り給びて候。草にさける花・木の皮を香として仏に奉る人、霊鷲山に参らざるはなし。況や民のほね(骨)をくだける白米、人の血をしぼれるが如くなるふるざけ(古酒)を、仏・法華経にまいらせ給へる女人の成仏得道疑ふべしや。/五月一日日蓮花押/妙法尼御返事