十住毘婆娑論尋出御書

〔C6・正元元年一〇月一四日・武蔵公御房〕/昨日武蔵前司殿の使ひとして念仏者等召し相はせられて候ひしなり。又十郎の使ひにて候はんずるか。十住毘婆沙論を内々見るべき事候。万事を抛ちて尋ね出だし給ひ候はん。諸事、此れ程の大事不□歟。/十月十四日日蓮花押/武蔵公御房/十住毘婆沙論十四巻拝上せしむ。今一巻は求め失せ候なり。御要以後は早々返し給ふべく候。愚身も必々参り候ひて承るべく候。昨日の論談は難眼、座席に列せざる歎き、五十展転の随喜の事、誠に以て有り難く候。又袴品賜はるべし。穴賢穴賢。恐々。/十月十一日日蓮(花押)/日蓮阿闍梨御房通達房之れを証す。止観八口決之木火土金水云云。謂く五星変じて彗星と為る云云。然らざる由、之れを料簡せば通達房之れを摂伏す。