窪尼御前御返事

〔C4・弘安元年六月二七日・窪尼(高橋殿後家尼)〕/すず(種々)の御供養送り給び候ひ了んぬ。大風の草をなびかし、いかづちの人をおどろかすやうに候よ(世)の中に、いかにいままで御しんよう(信用)の候ひけるふしぎ(不思議)さよ。ね(根)ふかければは(葉)かれず、いづみ(泉)に玉あれば水たえずと申すやうに、御信心のねのふかく、いさぎよき玉の心のうちにわたらせ給ふか。たうとしたうとし。恐々。/六月二十七日日蓮花押/くぼの尼御前御返事