行者仏天守護抄

〔C6・弘安二・三年頃か〕/釈迦仏ある経の中に、此の三千大千世界の梵天・帝釈・日月・星宿・四大天王・阿修羅・竜神等を一人ももらさず集めさせ給ひて、又十方無量世界の仏・菩薩・乃至堅牢地神等を集めさせ給ひて、我滅後正像末の持戒破戒無戒の弟子等を、第六天の魔王・悪鬼神、人王・人民・比丘・比丘尼・優婆塞・優婆夷の身に入りかはりて悩乱せんを、みながらききながら対治を加へずいましめずんば、他方の梵釈四天等治罰すべし。若し然らずんば三世の仏の出世にももれ、永く梵釈等の位を失ひて無間大城にしづむべしと、釈迦・多宝・十方の仏の御前にて起請をかき給へり。されば法華経をたもつ人をば、釈迦・多宝・十方の諸仏、梵天・帝釈・日月・四天・竜神、日本守護の天照太神八幡大菩薩、人の眼をおしむがごとく、諸天の帝釈を敬ふがごとく、母の子を愛するが如く守りおぼしめし給ふべき事、影の身にしたがふが如くなるべし。経文に云く「諸天昼夜に、常に法の為の故に、之れを衛護したまふ」云云。/四月十七日日蓮花押