上野殿御返事

〔C2・弘安三年一月一一日・南条時光〕/十字六十枚・清酒一筒・薯蕷(やまのいも)五十本・柑子二十・串柿一連送り給び候ひ畢んぬ。法華経の御宝前にかざり進らせ候。春の始めの三日、種々の物、法華経の御宝前に捧げ候ひ畢んぬ。花は開きて果となり、月は出でて必ずみち、灯は油をさせば光を増し、草木は雨ふればさかう、人は善根をなせば必ずさかう。其の上元三の御志元一にも超え、十字の餅満月の如し。事々又々申すべく候。/弘安三年〈庚辰〉正月十一日日蓮花押/上野殿