当体義抄送状

〔C6・文永一〇年・最蓮房〕/問ふ、当体蓮華解し難し。故に譬喩を仮りて之れを顕はすとは、経文に証拠有るか。答ふ、経に云く「世間の法に染まざること、蓮華の水に在るが如し、地より而も涌出す」云云。地涌の菩薩の当体蓮華なり。譬喩は知んぬべし。以上後日に之れを改め書すべし。此の法門は妙経所詮の理にして釈迦如来の御本懐、地涌の大士に付属せる末法に弘通せん経の肝心なり。国主信心あらん後始めて之れを申すべき秘蔵の法門なり。日蓮より最蓮房に伝へ了んぬ。/日蓮花押